名証IR EXPO 2023 質疑備忘録
人混みが大の苦手にも関わらず、気になる企業が幾つかあったので名証IRエキスポへ参加してきました。時間の経過と共に意識が遠のいていきましたが、貴重な話を聞けたり、社員の方々の表情を観察できたりと有意義な体験でした。
今回訪れたのはシイエム・シイ(TSE: 2185)、名港海運(TSE: 9357)、ICDAホールディングス(TSE: 3185)、文溪堂(TSE: 9471)の4社。以下、それぞれのブースで担当の方とお話しさせていただいた内容をQ&Aの形にまとめました。
シイエム・シー(TSE: 2185)
個人的に最も関心のある会社がこちら。トヨタなどの自動車会社に深く入り込み、社員の販売教育やマニュアルの制作をアウトソースされている会社です。車の部品や構造といった極めて複雑な情報をわかりやすいフォーマットに落とし込むノウハウはこれから車以外の分野にも活かされていくものと思っています。
※現在、同社のセグメントは「Manuals」と「Knowledge」の二つですがこの分類は非常に曖昧なので、ここでは「インターナルマーケティング」、「エクスターナルマーケティング」」、「カスタマーサポート」etcと言った旧来の分類に従って書いています。
Q1.
インターナルマーケティングの売上が2014年3月期から急に増えたのは何故か。また、なぜ2020年3月期からは減少に転じたのか。
A1.
この頃から海外の販売員を日本で教育する機会が増えた事、富士スピードウェイで実際の車を運転させての研修など、比較的コストの高い研修が増えたのでその分だけ売上は増えた。また、2016年7月に買収した株式会社メインの影響も含まれている。
2020年3月期から減少に転じたのはコロナの影響が大きい。リアルでのイベントが出来なくなったため、売上は落ちた。オンラインやリモートでのビジネスが増えたので売上は落ちたが利益は確保している。
Q2.
2014年あたりからトヨタ向け以外の売上が伸びている。何故か。
A2.
経営陣の営業戦略の変化による。それまでは一社専心という考えがあり、トヨタ以外には本腰を入れてこなかった。2014年あたりからは他の会社もどんどん取っていこうという姿勢に変わった。
Q3.
EVの普及で自動車のパーツが減ればマニュアル制作売上は減少するが、同時にデジタル系の情報増は売上の増加につながる可能性もある。ネットではどちらの影響が強くなると思うか。
A3.
非常に予想が難しい。ただ、感覚としてはお互いオフセットしあって現状維持ではないか(これに関しては自信なさそうでした)。
Q4.
社員数が横ばいであるにも関わらず、CMC Solutions社の販管費率がここ数年で大きく下がっている要因は何か。Knowledge Connectの影響?
A4.
わからない。Knowledge Connectは販売開始時期からしてないと思う。
Q5.
「楽々エーミング」は売れているか。
A5.
あまり売れていない。理由としては、エイミングを必要とする作業がまだそこまで多くないので人力で十分、と言ったものが多い。
名港海運(TSE: 9357)
名港海運は日本一の貿易取扱高を誇る名古屋港でナンバーワンの事業者です。バリュエーションとしては割安感があるため注目しています。しかし、創業家一族の影響が大きい事、名証単独上場であることなどから「理由があって」安い可能性もあります。今回わざわざ名古屋まで足を運んだのは、社員の方々と直接接することでその辺りに関して何かヒントを得られるかも、と思ったところが大きいです。
Q1.
港湾運送、陸上運送、倉庫保管の利益率はどのような感じか。
A1.
港湾運送は名古屋港のインフラを使わせてもらっており減価償却費が発生しない、その分利益率は高い。一方、陸上運送と倉庫保管は自前の設備であるため、利益率は港湾運送よりも低くなっている。
Q2.
競合について。
A2.
名古屋港での競合先は8社。その中でも伊勢湾海運、フジトランスがそれぞれ2番手、3番手。これまで、共に名古屋港の海運事業を支えてきた歴史があるため、パイを奪い合うような競争はない。むしろキャパシティを融通しあうなどの協力関係にある。
Q3.
プレゼンの中で危険品の保管や輸送が増えているとあったが、何故需要が増えているのか。
A3.
電池の需要増によるところが大きい。
Q5.
「株主対策にはあまり力を入れてこなかったので、配当は上げていくつもり」とプレゼンされていたが、配当以外での株価対策(IRの充実など)も積極的に行なっていくのか。
A5.
やっていきたいと思っている。今回名証IRエキスポに初めて参加したのもそのような思いから。IRの充実はたとえばどの様な事をやっていけばいいですか(逆質問)?
Q6.
近年設備投資が多くなっているが、これはいつまで続くのか。
A6.
特に決まっていない。我々は商船三井などの顧客から作ってくれと言われて作っているので、客先の状況によるところが大きい。現場人員の高齢化、人材不足を補うためのICT投資は続けていく。
Q7.
名古屋港のキャパシティはもういっぱいだと聞くが、成長余地はあるのか。
A7.
我々としては、まだ設備を建てられる土地はあると考えている。また、効率化によって利益面での成長はまだまだ可能。
Q8.
ここ数年、売上は増加しているのに粗利率は低下しているのは何故か。
A8.
サプライチェーンの混乱の影響。航空便の利用や、半導体不足による未完成品の保管需要が高まり売上は増えたが、キャパシティの不足分については他社の設備を借用したためコストも増えた。
Q9.
持ち合いの株式が220億円もある。これはどうするのか。
A9.
保有の合理性を検討しつつ、減らす方向で考えている。
Q10.
生産拠点の国内回帰は名港海運にとってプラスになると思うが、その様な動きは感じているか。
A10.
中国離れは進んでいくだろう。
ICDAホールディングス(TSE: 3185)
三重県に集中出店しているカーディーラー。リサイクル事業も行なっている。割安だと思うのだが、出来高が非常に少ない。出店スピードが遅いのも気がかり。
Q1.
出店スピードはもう少し上げられないのか。
A1.
確かに遅い。創業者である向井社長は、父から地域に根の生えた経営をしろと言われ、これを頑なに守っている。土地を購入してから店舗を作っていくので、どうしてもスピードは遅くなる。
Q2.
リサイクル以外のビジネスについて、サービス売上の占める割合が12%と全国平均の20%よりも低い。粗利率の高いサービス売上はもっと伸ばせないのか。
A2.
全国平均よりも低いとは知らなかった。我々はサービス売上よりも販売売上を重視している面はある。そのため修理に来た顧客などには買い替えを積極的に勧める傾向がある。
Q3.
流動性を上げるために何か対策は。
A4.
向井社長は株式を分割すればいいと思っているが、我々(IR担当)としてはそれだけではダメだと説得している最中。具体的には向井一族の持分を減らしたり、IRを充実させたり、と言った施策を提案している。ログミーによる書き起こしはその一環。株主総会でどんどん社長に突っ込んでください。お願いします。
文溪堂(TSE: 9471)
小学校で使う教科書などを販売している会社。その他、バムアンドケロと言った絵本も出している。ネットキャッシュが多く割安に見えるが、成長は期待できない。
Q1.
教師向けデジタル商材のTe-Comp@ssについて、これまで解約された事はあるか?
A2.
我々の商品に解約という概念はない。自治体は5年に一度仕入れ先の見直しを行う。その際に取引がなくなる事を失注と言うが、失注があったかと言えば、あった。
Q2.
事業内容からしても上場している意義はあまりないのではないか。
A2.
創業者一族による支配を防ぎ、経営に規律を持たせるため、外部の人にも持ってもらっている。
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